WAY TO THE RAMPAGE沼、或いは川村壱馬が好きかもしれない、という話

表題のとおりです(完)
または、物心ついてから某国民的デュオを信仰し、二次に三次にと反復横跳びをしながら人並みにおたく街道を歩いていた女が、まさかLDHという未知の世界に足を突っ込んでしまうまでの、ありきたりな備忘録です。
 
2020年の夏頃に、界隈でTHE  RAMPAGE  from EXILE  TRIBE(以下ランペ)の沼落ちブログが流行っているのを横目で楽しそうだなあと眺めながら、でもこういう文章書くの苦手ですしそもそも私はまだ落ちてませんですしおすしと(順調にランペの現場に足を運びつつあったのに)心が謎の駄々をこねるので、そんなら仕方ないかーと挙げかけた手をおろして、それで終わった、はずだった。
しかし、先日(2020年12月15日)、無事にファイナルを迎えたツアー『REBOOT』。アンコールが終わり、多幸感とすこしの寂しさが混じった幕張の空気を吸いながら、ふと、いま書かなくてはと水が湧くように思った。そうじゃなきゃ、もう一生書かない。
終演後の会場内に流れる、規制退場を待つファンは時間を持て余すじゃろうということで作成されたらしいメンバーひとりひとりからのメッセージ動画と書いて、思いやりのかたまりを見上げる。私は今後こんなに綺麗になにかにハマるという経験を果たしてできるのだろうか、と疑問を唱えたときに、いや、怪しいなと頭のちがうところから即答があった。それはそう。
だから、いつかのために。
ぽろっと吐露した「書こうかな」に、大好きな友人が「読みたい」とシンプルに背中を押してくれた勢いに任せて、いつかの自分のために、書き留めておきたいと思ったので、書こうと思います。
すべては個人の意見と感想であり、特定の個人、団体、または社会情勢を批難、否定する意図はないこと、また、時期的に緊急事態宣言下でのあれやこれやに言及があることをご了承の上、この先は読み進めていただければと思います。
 
とは言っても2年前のことだもんなあと頭を抱えたときに、ふと、あの頃ひとこと日記つけてたじゃんと思い出す。あの頃、誰もがそうだったように、観たい公演、行きたかったイベントが軒並み中止になるのに仕事は変わらず積もり続けるばかりで、へこんでぱったりと書かなくなってしまっていたけれど。そういえば、と部屋の隅の積ん読タワーの一部と化していたそいつを引っ張り出してみる。
すべてのきっかけは『HiGH&LOW  THE WORST』(以下ザワ)だった。
初回鑑賞日は2019年10月18日らしい。ふむふむ。ページを繰っていく。
2019年11月19日、「日を追うにつれてランペちゃんがかわいい」。
即オチ2コマ!!!!!
しかも記録によるとこの1ヶ月のあいだで怒涛の勢いでハイローを履修しつつ3日に1回のペースでザワを摂取している。おかしい……いやいやもうすこし抵抗してただろお前……してたよな……しててくれ……その証左をいま示そう、というところである。
 
さて。
 
2019年10月18日のことだった。
限界だった。
肉体がではない。メンタルが、このままでは感受性が死んでしまう。そう思っていた。
暑かったのか寒かったのか、その日どんな服を着ていたのか、なにをしていたのか、いまとなってはなにも思い出すことのできない毎日の延長だった。雨が降っていなかったことだけは確かだった。劇的な日ではなかった。好きだった俳優への感情が前触れもなくすとんと消えてしまってから数ヶ月が経ち、ついでに職場での入社から結構長年耐え続けていた腹須(ハラス)麺(メン)党(トゥ)的なサムシングがじわじわと積み重なっていたおかげで、つまるところ、べっっっったべたに疲弊していた。なにを見てもしても楽しくない、胸の奥から感情が動かない。鬱屈って広辞苑にこのまま載せられる。やばいぞやばいぞ。このまま私はのろのろと退屈を飼い殺しながら生きていくのだろうか。時間の流れるに任せて漫然と、この退屈さに、つまらなさに慣れてしまうのだろうか。そう思っている自分に気付いて怖くなった。僕はいやだ!!なんでもいい、誰でもいいから助けてくれ!!!と発狂しそうになったときに、ふと思い出したのが最近よくザワ……ザワ……と界隈(TL)を騒がせていた映画の存在だった。ハイロー!?なんだそれ!?!?という1ミリも知識もない状態ではあったが、人並みおたくはニチアサも齧っていたのでトッキュウレッドとキョウリュウグリーンとゴーカイブルーがいるらしいことはわかった。しかしハイローとはシリーズものらしいがいけるだろうかと怯むが、有識者からザワから急に観ても大丈夫とお墨付きをもらう。調べるとその日のレイトショーがあった。躊躇う理由はなかった。仕事終わりに映画館に駆け込んだのが、すべてのはじまりだった。
ザワについて語り出すとキリがないので割愛するが、結論から述べると、マジでなにがなんだかわからなかった。
絶対に相乗りしたくない電車から降りてくるハゲ軍団、なぜか荒廃しきった住居とWELCOME TO HELL、ぐるぐる回るカメラワークで謎に殴りあう顔のいい男たち、チャリを蹴飛ばしたら足のほうが痛いだろうよ、ナイスタイミングのカムバックってなに、え、この子ら高校生なの授業は、なんだこの清掃という概念のない校舎、ねえどうして殴りあう前に話さないの、話を……いやそうじゃない急にきゅうりの話されても先生怖いだろ……どうして殴るの……みんなたち……話を……まず話し合いをしろ……!!!!!!!
99.97%なんの話をしているのかわからなかった。(当時の記録より)
では0.03%なにがわかったのかと問われれば、それは対話の重要性なんじゃないかな、知らんけど。
息を継ぐ暇もなく押し寄せる景気の良い「意味わからん」に無防備で突っ込んでいってしまったため、失礼ながら最後のほうとかわけもわからずに笑っていた。笑うしかなかった。でも、ひと席空けて右隣に座っていたサラリーマンが真剣に観ている空気がひしひしと伝わってきたので、どうか彼に気づかれませんようにと必死で肩が震えないようにしていた。
大変申し訳ないのだが異文化すぎてなにもわからなかったが、しかし、金のかかってそうな映像はすごかったし、誰の歌か知らんがなんかずっと流れてた音楽もよかったし(フラグ)、小田島有剣は噂どおりやばかったし、主人公の子とか、隣にいた金髪の子とか、全然知らないけど若手俳優なのかな(フラグ)などと反芻しながら、一駅分の家までの道のりをケラケラ笑いながら歩いて帰った。久々にこんなに愉快な気持ちになったな、と思いながら。
怪しいよ。よく職質されなかったな。
これがザワと私のエンカウントであった。
 
次の日にはHuluに加入して、ハイローシリーズを履修しはじめる意欲の高さを見せつける。
視聴を進めていく過程で、ようやく、あ、これってEXILEのとこのやつなの?とようやく気づく。あなたもあなたもEXILE???(正しくはLDH)。嘘でしょ。ちなみに未だにロッキーの中の人が啓司さんなことに私は納得がいっていない。
 
小学校の授業で無理矢理Choo Choo TRAINを踊らされてから勝手に毛嫌いをし続け、田舎の某レンタル店でのバイトの経験からなんかキティちゃんの健康サンダル履いたカップルがよく借りてくグループだよね、くらいの認識でいたEXILE及びLDHとの、実にすんなりとした邂逅だった。この認識が逆だったらたぶん食わず嫌いを発揮してただろう。よかった。素直に謝らせてください。知ろうともせず嫌いだと思っててごめんなさい。
 
一方で、ザワである。
別に全然ハマってない。ただ、私がおかしいのか向こうがおかしいのか確かめにいくだけだから、これはカチコミだから。
と会社の後輩に謎の言い訳をしつつ、当初は専ら小田島有剣が目当てで映画館に文字通り通って鑑賞回数を着々と重ねていった。初回鑑賞から2回目をキメるまでの期間が3日間であったことが物語るように、妙な中毒性にすっかりおかされていた。(ちなみにこの後輩はその後ちゃんと映画館に連行されてくれてすこんと落下した。ライブはだいたい彼女と連番している)
タイミングよく10月29日に丸の内ピカデリーで開催された大ヒット御礼応援上映会にもカチコミをきめた。いま思えば大層もったいないことをしているのだが、ランペの解像度ゼロの状態で一度彼らを見ていたらしかった。ただ応援上映後にご本人登場で盛り上がるおたくたちの異様な熱気のなかで、ふわふわおよおよしてるのが、どうやら先述の主人公の花岡楓士雄の子と、その隣にいる金髪の高城司の子らしいと思ったのは覚えている。なんか役のイメージとぜんぜんちがうなと不思議だった。
あの子らに引かれてないかしらと不安に思うくらいには会場の熱狂がすごかった。あの日の応援上映のおたくたちは変なテンションだった。ちなみに塩野瑛久は熱狂するおたくの扱い方が上手すぎた。沸いた。
 
時に、妙な中毒性に脳を焼かれた人間がザワを切らしたとき、我々を襲うもの。
そう、みなさんご存知の禁断症状だ。
レイトショーを探しては映画館に通ったが一応社会人のため毎日そうそうに都合がつけられるわけでもない。しかし、ザワを観れないとなんだか心が弱くなる気がするし風邪ひきそうになるし実際にひいた。マジで。
しおしおする私に「ジェネリック、あるよ」と勧められたのが、SWAG&PRIDEのMVだった。
 
待って高城司って歌うの?????????若手俳優じゃないん???????
 
あんなに顔が綺麗で??演技がうまくて????さらに歌って踊るらしいとは何事だ????
衝撃的だった。世の中こわ。
 
そして、映像のカットが変わり更なる衝撃を受ける。 
 
さっきのエヴァ初号機みたいな人って花岡楓士雄なん????????
 
ご覧いただくとわかるように、ゆるくウェーブをかけた髪型と劇中の花岡楓士雄を彷彿させるオールバックの髪型の2パターンでお送りされている。後者でやっとギリギリ気付いた。
だっってぜんぜん顔違うじゃん!!!!!!!世の中こわ!!!!!!!!!!!
 
正直な話をすると、苦手な言葉が友情努力勝利である私にとっては、光!!!陽キャ!!!!全開でピカピカの白い歯を見せて笑う花岡楓士雄はかわいいなとは思うものの、綺麗な眉毛がよく動く主人公の子という認識があるだけだった。なのに、いやいやいや誰だよぜんぜん別人じゃん……しかもめっちゃ歌が上手いし待ってこの曲めっちゃ聴いたことある(主題歌。あたりまえ体操
本業、そちらでしたか……とひっくり返りながらスマホで調べてみる。
THE RAMPAGE……フロムエグザイルトライブってなんだ……???? 吉野北人くんと……川村……い、いちま、くん……(ちがいます)
あとひとり、なぜか筋肉隆々で歌ってる人も合わせて3人でボーカルなんだなと学ぶ(RIKUさんだった)(3人のボーカルなのでスリボと呼ぶらしい)。
それにしても、なんかいっぱいいるけど全員メンバーなの?(メンバーだよ)と思いながら、レコメンドされるままにYouTubeでMVを見まくる。なんかよくわからんが金のかかった映像サイコー、こんなの人類みんな大好きじゃんというおたく特有のくそデカ主語を振りかざしつつ、ゴリゴリの曲やらHIPHOPやら洋楽っぽいのやら色彩の豊かさに驚く。ジャンルの幅がありながらどの曲も耳心地が良くて、あれよあれよという間に通勤の電車でランペを聞くようになる。三者三様に歌が上手いし、パフォーマンスありきだからなのか聴いていてリズムが気持ちよかった。あとやっぱりサブスク解禁されてんのでかいって。
 
ちょうど来年から始まるらしいツアーの申し込みがあると聞き、興味が沸いたのでチケット先行目的で微課金コンテンツ『EXILE  TEIBE  mobile』(有料ブログが読めたりするやつ)に加入してみる。たくさんブログがあってどれを読めば??と思いつつ、いろいろと調べて情報に触れていくなかで、川村さんの名前は「いちま」ではなく「かずま」だということに気付く。1997年生まれって書いてある。某デュオのデビュー年だがと恐ろしくなる。1月7日生まれらしい。おお、なにを隠そう私も1月7日生まれである。同じ誕生日の有名人といえばニコラス・ケイジくらいしか知らなかったので新鮮でちょっと嬉しくなる。どんな感じのこと書いているのかなと軽い気持ちでブログページに飛んでみた。軽い気持ちだった。
その頃の川村壱馬のイメージといえば、花岡楓士雄のそれとは別に、どのMVでも堂々とセンターを背負う凛々しい(ともすればちょっと怖い)感じであったので、あまりこういうの発信してなさそうだなと思いながら見てみる。
あれ、毎日更新されていているぞ……なんか思ってたのとちがうなと思う。
直近から遡って読んでみる。いくらを育て(?)たり、いくらの卵がけご飯を食べたり、ザワキャストを家に招いてきゃっきゃしたり、ゲームのガチャ回してきゃっきゃしたりしてるし、絵文字もめっちゃ多くてなんか、かわ、い……いやいや、なんか、思ってたんとちがうなあ(2回目)。
この「なんか思ってたんとちがう」を今後何度も繰り返すことになるともつゆ知らず、思ってたよりもいい子な気配を感じながら踏みとどまるために爪先に力をこめた。好きにはならないぞ、だって好きじゃないしと誓う。
私がLDHにハマるわけないじゃないか!!!!!!!
 
とは言え、ここまで来ると、次におたくが思うことは「Live映像が観たい」であるとは、コペルニクスの時代から提唱されていることはご周知のとおりだが(?)。例に漏れずそんな衝動に駆られてしまった私は、サブスクで聴いてるアルバムってこれなのかとようやく気付きを得ながら、はちゃめちゃに葛藤したのちに特典映像目的で『THE  RIOT』をネットでポチるに至る。どうやら直近のアリーナツアーの映像が収録されているらしかったのだ。
数日後、家に届いたお重箱みたいなそれと向き合いながら思った。
ああ、一線を超えてしまった。
 
ドキドキしながらプレイヤーを起動させる。ハイローで、ザワで、あんな治安の悪さを見せつけていた事務所のとこのライブである。EXILEのボーカルもサングラスかけてるし(その下の瞳がつぶらであることを僕たちはまだ知らない)、キティちゃんの健康サンダルがファン層な界隈だし(失礼)、MVで鉄パイプ振り回すようなところのライブ映像である。
絶対に治安が悪い!!!!!(偏見)
 
J事務所の某テメエら声を出さなきゃ命はねえと思えとか言い出すタイプのグループのライブにも参戦したことのある私である。そういうの嫌いじゃないのだ。
どんな柄の悪さを見せつけてくれるのかとニヤニヤしながら再生ボタンを押した。
 
「埼玉のみなさん〜〜〜〜!!!!!」 
 
埼玉のみなさん!?!?!?!?!?!
 
「僕たちランペイジの象徴である右拳を掲げてください!!!!」
 
僕???たち?????掲げてください????????? 
 
見た目の治安がはちゃめちゃに悪いのに煽りがはちゃめちゃに丁寧だった。
どうして。落差よ。耳がキーンてなるやつ。
しかも、なにを隠そう生まれも育ちも埼玉、埼玉ダイスキーな私がこんなに「埼玉のみなさん」言われてときめかないわけがなかった。
はーい、埼玉の私だよ〜〜〜〜!!!!!
 
大迫力のオープニングから、なぜか服を破き出したりも挟みつつ人数の多さを生かした多種多様なフォーメンションと曲展開のセンスの良さ。ライブなのになぜかカメラワークがとてもいい。あと知ってたけどみんな顔がいいし当たり前に歌が上手いし踊りがすごい。踊りの良し悪しはあまりに門外漢でよくわからないがとにかくすごい。一般人と関節の数がちがう人たちなんだなと思った。そうじゃないと説明できない動きだった。
感動と呆気にとられるので口が半開きのまま、事件が起きたのはスリボのバラードのターンだった。宇宙のような星空をスクリーンいっぱい映し出す壮大なセットから隠れるような場所に置かれたソファに座って歌っている川村壱馬、その表現力にすこーんと頭を殴られた。
演技うますぎん……????
 
なにせいい男が失恋しているのが似合うのが大好き芸人なので普通に刺さって死んでしまった。去りゆく恋に伸ばす指先が痛かった。え、そんな顔しないでよと困惑する自分に困惑した。
 
なんだこの男はと思う。怖い、底が知れなくて怖い。
余談だが、あとなんかフライゴンみたいなサングラスかわいいね、とか思ってないし。
 
ますます彼らのライブに行ってみたい欲が募るがビギナーズラックは微笑んでくれずRMPGのチケットは落選し(武蔵野の森なんたら分)、しおしおしている私にまたも新しい情報が舞い込む。(ちょっと前後関係怪しいけれど、たぶんこんな感じだった)
『HiGH&LOW  THE  WORST VS THE RAMPAGE from EXILE TRIBE 大ヒット御礼応援上映会&PREMIUM  LIVE  SHOW』の開催決定のお知らせであった。
闘うのか……
闘うのか?????なんで??????
 
盛大にはてなを飛ばしながらもどうやらライブが観れるらしいので迷わず申し込む。見事に当選する。ありがとう神様。
 
2019年12月26日、当日、すったもんだ連番予定相手にブッチされるみたいなサムシングがありつつも意地でチケットを確保し横アリに入場する。新宿などで開催されていた応援上映はもはやザワ中毒者みたいな集まりだったから(ごめんなさい)(でもそうだと思う)、これが実質生まれてはじめてのLDHの現場だった。恐る恐る踏み込む。隣の席にはランペファンらしい女子高生二人組いて、開演前に会場に流れているランペの曲に合わせて楽しそうに歌っていた。めっちゃ微笑ましかった。学生時代にランペに出会えたら英語が得意になりそうだよね、知らんけど。
会場のところどころでフラッグが揺れているのを見て、ここにはTHE  RAMPAGEが好きな人たちが集まってるんだな、すごいなあと、今更のような未知との出会いに感動を覚えた。
 
イベントは死ぬほど楽しかった。
ザワ本編中の有名なあのセリフ「お前ら金が欲しいんだろ」に全力で「欲しい!!!」と叫び返したのに笑ってくれた女子高生たちありがとう。コロナ禍だけどどうにか学生時代は楽しめてますか、今頃お元気してるかな。もう顔も思い出せないけれど、なんだか隣のこの女子高生たちがランペ大好きで一斗缶みてえなあったかい気持ちになったのを覚えている。おかげで黄色い声を聞きすぎると歯が痛くなるんだと初めて知った。
 
16人全員の顔と名前を覚えるのはまだ怪しくて、でも、楽曲はおかげさまでぜんぶ聴いたことがあった。かつての応援上映からはだいぶ上がった解像度でライブも満喫した。喉からCD音源だった。なんで踊りながらそんなに歌って瞬間的にハモれんだ???
 
完全に私事ですが、まあぜんぶ私事ではあるのですが、このくらいの時期になるとマインドに変化が訪れる。
原(はら)巣(す)綿(めん)糖(とぅ)上司に殴られっぱなしじゃいかん。
殴られたら殴り返せってランペも言ってる!!!!!(ランペは暴力を推奨していません)
謎にバチバチに強くなったメンタルでストレス社会と戦う決心をしたりしてそれなりの結果を得たりする。毎日泣いてたのが嘘みたいに生きるのが楽しくなる。ご協力をいただいた関係各所の方々に改めて御礼を申し上げつつ、ランペちゃんたち、ありがとうね。
 
話は戻り、RMPG公演のさいたまスーパーアリーナの追加公演が決定したことと、当時はファンクラブに入らないと見られない超課金コンテンツLテレ(現:CL バラエティ等の動画がたくさん見れるやつ)の誘惑もあり、横アリの次の日にはワインを飲みながら酒の勢いを借りてファンクラブに入会した。
年末年始の時間を利用しながら、配信されているランペの慰安旅行を見たり富士急ではしゃいでたりマンボウを食べたりしている姿を見て、思ってんのとちがう(n回目)と動揺する。治安ぜんぜん悪くない。あまりに平和すぎる。ってか、もう、なんこれ、幼稚園か……???????  ってくらい平和。
16人もの人間がグループとしてひとつになるために至った結果なのだろうと想像するけれど、誰もが誰かのことを否定しないやさしい世界にほっとした。笑いをとるのに人を使わないのは安心する。ランペちゃんが笑ってくれる姿を見て着々と元気になっていく。
 
ほんものの埼玉のみなさん楽しみだなあと思っていた矢先に、突如日常に割り込んできたコロナウイルスの影響で、3日分押さえたRMPGの埼玉公演は延期の後に中止となった。
毎日をがんばるための心の支えとしていた杖がことごとく折れてしまい、誰もが先の見えないあの日々を、私はというと、職場と自宅を半泣きで往復しながら粛々と仕事をこなしていた。きっと、誰しもが理不尽さとやるせなさを飲み込んだのと同じように、それ以上の辛苦があると見聞きし苦しくなるのと同じように、出口の見えない毎日を粛々と、粛々と過ごした。
流れが止まり鬱々と淀んだ日々に、波紋を広げ、心を波立たせてくれたのはやっぱりランペだった。
自分たちだって短くない時間をかけて準備していたであろうアリーナツアーが序盤で中止になり、想像もできないくらい悔しい思いをしているだろうにも関わらず、SNSやブログを通して毎日のように発信があった。メンバーが毎日二人ずつ、定番の、または意外な組み合わせで配信をしてくれた『STALI  HOMIES』ではメンバーひとりひとり性格やメンバー同士の関係がリアルタイムで伝わってきて、彼らのことをより知るきっかけにしてくれた。
 
ニコニコ生放送でのライブ配信があった。彼らはどうしたってライブが好きなんだなということ、パフォーマンスすることを諦めていないという気概が伝わってきて、どうしようもなく胸がいっぱいになった。
その後、定期的に開催されるようになるLIVE ONLINE(Abemaで配信された無観客ライブのこと)が新たな心の支えだった。毎回「これ一回だけじゃもったいなくない!?」という充実した内容で楽しませてくれてすごかったのに、もう見てくれと言えない、円盤がないから。見逃し配信期間の3日間は暇さえあればそればかり観ていた。ところでどうして円盤化しないんですか!?!??どうして円盤化しないんですか!?!?!?!?!?!?!?
画面の向こうで、距離なんか関係ないと証明するようにパフォーマンスする彼らに、何度でも心が動かされた。くそみたいな日常と地続きな明日を、それでもがんばろうと思える勇気をもらった。
 
彼らのパフォーマンスを実際に見ることができたのは、それから2年が経って2021年6月17日だった。『RUN RUN RAMPAGE』の横アリイベントで披露されたパフォーマンスはずっと見たかったランペのそれで、ライブと落差激しくわちゃわちゃしている集団もランペだった。あんまり夢みたいで、実感がないというのが正直な感想だった。テレビを見ているみたいだった。RSTW(LDH全部乗せのお祭り)にも参戦するものの、目まぐるしすぎて荒波に揉まれた充足感だけが残った。
あ、ランペを見てる!!と思えたのはREBOOT東京ドーム公演でトロッコに乗って外野席に近づいてくれたときだった。超キラキラしてた。ほんとにこの顔と姿で生きているのかと驚いた。
ランペのライブは16人もいるからいつとどこかで何かしらが起きていて、レポを見てると「そんなことあった??」の連続だったりする。物理的にどうしたって目が足りない。目が16個、欲を言えば32個必要だった。とんだ化け物である。悔しい。
 
なんか思ってたんとちがうなあが出会いだった川村壱馬は、やっぱり毎日のようにそれを更新し続けてくれている。
好きなお酒はカルーアミルクらしいし、冬の加湿方法を問われて大きな鍋でお湯を沸かすとか斜め上の回答をするし、自宅で寿司を炙り出すし、いっぱい食べる君が好きだし、ぬいぐるみにやさしいし、めちゃでかなウィンディ買ってるけど寝るスペースある??と思うくらい観測可能範囲ですらぬいぐるみが登場しまくってるし、想像以上にインドア派らしいし、銀髪にしたのはセフィロスにずっと憧れててとか言うし、惜しげもなく型月信者だし、アルトリアを愛しているらしいし(はやくルフェってくれ)、ゲーム配信はじめたら延々としてるし、かと思ってたらウイングマンをツアーで持ち歩いてるしどういうことなんだ。パフォーマンスとなれば別人か??ってくらい曲によって見せてくれる目の色が様変わりするし、噛み噛みなMCが嘘みたいに高速ラップはバチバチに決めてくるし、情感たっぷりのバラードに浸りたいし、あの矜持に満ちた「This is THE RAMPAGE」は何度だって聴きたい。本人は話が下手だからというけれど、でもそれって例外を作らない言葉選びをしているからじゃないかなと私は思っている。言葉の枠の外に誰かを弾かないように彼は言葉を重ねる。それが時として、ちょっと言い方悪いけど、まわりくどいみたいな印象があるのかな、とは思う。思うけれど、でも、まあ、いいんじゃないって私は思う。やさしさって、つまるところ想像力だよなと思える壱馬さんの言葉が、私は好きだ。
ぜんぶ思ってたんとちがうんだよな。思ってたんとちがってどうにもかわいくて、想像以上にかっこよくて、そして、なんかめっちゃやさしい。時になんでそんなに?って不思議に思うくらいに、やさしいらしい。
なんかさ、もう、こんなはずじゃなかったんだよ。あの日なんの気なしに見た映画からはじまって、あ、なんか誕生日一緒だなあから、ここまでくるなんて誰が想像した???勘弁してくれ。
 
しかし、まあここまで語っておいて、私は、私の感情に自信がない。
正確にいうと感情の持続に自信がない。
例えば、いま好きだと思っても、明日の朝に同じだと言い切れない。
それは、彼らのことが信じられないとかそういう話ではなくて、単純に私の内面だけに起因するものだ。THE RAMPAGEは裏切らない、いつだって毎回最高を更新してくれて最高だ。
だからこれは私だけの問題だ。
誰かを好きだと思うことは、私にとっては心の中にボックスを設けて、そこ気持ちを投げ入れていくようなものである。時折開けてみては、にまにまと、ああ、綺麗だなあと眺めるのを楽しみながら、思い出を蓄積させていくようなものだったりする。
でも、もう、ある日、気持ちを投げ込み続けたはずのその箱を開けたときに、突然、なにもなかったと気付いてしまうときの喪失感が怖い。一生好きだと思っていた人を好きでないと気づいてしまうのは悲しい。胸を底を擦り減らすのは痛い。わざわざ傷付きにい首元気は残ってない。
いつかこの感情にも終わりがくる。それが感情的なものなのか、環境的なものなのか、はたまた私の肉体的なピリオドなのかは知る術すらない。でも、きっと終わるのだ。生きている限り、いつか終わるのだ。その事実に向き合い咀嚼して飲み込む気合と勇気がないから、どうにも「好きだ」と声を張れない。ちょっといつも後ろめたい。
それでも、私はストレス社会との決戦場にS&Pを聴きながら向かい、WAKE ME UPを毎朝の通勤のテーマソングとしたことを、仕事の資料に埋もれながらインビジの音源解禁をラジオで聴いて、歌上手くね??とひとり呟いたことを、緊急事態宣言下で誰もいなくなった東京駅をリビリラを聴きながら歩くことで不安を誤魔化してたことを忘れられずにいる。曲を聴くたびに思い出す。
彼らが奏でる音のひとつひとつに刻まれた思い出を、ライブで浴びたキラキラな瞬間のひとつひとつを、膝が折れそうなときに掻き集めては勇気にしている。
許されるだろうか。
あなたの幸せのすべてになるつもりはないと、ある日のスタライで川村壱馬は言った。いつまでも好きでいてもらえると思っていないとも、REBOOT最終日の最後のMCで彼は言った。
ともすれば冷たいなと思う。いま、彼を全力で応援している誰かが聞いたらとても悲しむだろうなとも思った。
しかし、それでも、私はそれを聞いて安心してしまった。
世の中で活躍するアーティストに対してのたかが一人のファンが増えようと減ろうと大勢に影響はないと重々に承知している。だから、徹頭徹尾、すべては、これは、私の話だ。
それを踏まえた上で、私は、それを聞いて、とても安心してしまった。
なんだ、終わりがあっていいのか。それなら、いつかの終わりがあるこの気持ちを、いまは好きと名付けて抱えてみてもいいのだろうか。
ちょっとの後ろめたさを付きまとわせながら、それでも。
仕事おわんねとキーボードをへし折りたいときに、テメエなに言ってんだと拳を握るときに、人前で自分の意見を唱えるとき、どうしても負けられないと意地で顔を上げようとするときに、はたまたコンビニの店員さんが冷たかったときに、改札で引っかかったときに、歯医者で口を開けるときに、ちょっと誰かに力を貸してほしい日常のふとしたときに、思い出して握り締めも許されるのだろうか。明日を手繰るよすがとしても許されるだろうか。
私は、そうする私を許せるだろうか。

そうだとしたら。

今日も理不尽ばかりにイライラしながらも、きちんと仕事を終えたら家に帰ろう。寝る前にはきっと毎日欠かさず更新してくれているはずのブログを読んで、明日に備えてちゃんと寝よう。
そして、次の日の朝起きてみて、ああ、今日も推しが尊いと思えたら、だるだるな毎日の中でも胸を張ってみようと思うのだ。
ノーなものにはノーを突きつける勇気を忘れず、誰かにやさしくしたいと思う想像力を忘れず、倦まず怯まず、生きていこう。
だって、明日の私はたぶんランペ沼にいて、或いは、川村壱馬が好きかもしれない。
そんな気がしているから。
 
 
 特別お題「わたしの推し